危険な愛を抱きしめて

 この時、ちらっと。

 自分のボロっちぃ心臓のことが、アタマによぎったけれども。

 オレは、あえて無視した。

 腕力をウリにしている男五人。

 一人で、戦うのは、きついに決まっているが、ここで引いたら、男じゃねぇ。

「風ノ塚。
 スキを見て、警察に連絡。
 あんたのその顔を見せれば。
 アイツらリッパな障害罪で、退場させることができるハズだ」

 ささやき声に納得した風ノ塚が、うなずいた。

 それを見ながら、オレは腕をまくって前に出る。

「由香里を……そいつを放せ」

「なんだ、お前……!」

 オレの要求にも、由香里を捕まえて離さない男の疑問は、セリフの途中で吹き飛んだ。

 不意打ち一発。

 男のみぞおちに決まった拳は、由香里を解放し。

 続く蹴りで、男はキレイな孤を描いて、オレの視界から消えた。

 どがしゃっと言う、イスがつぶれる音を一つ残して。

 とたん。

「……んだぁ……!?」

「やるか!? この!」

 残った男たちが、俺に向かって、汚ねぇ声をあげた。

「音雪!」

 アヤネのうれしそうな声が続く。

 そして。

「……雪」

 オレの背中にかばわれながら、由香里が小さくささやいた。