由香里の視線を痛いほど感じながら、オレは試しに聞いてみた。

「もし、篠原が。
 大男をひょいと投げ飛ばすほど、すげー女だったら、どうする?」

「あははは、まさか~~」

 オレの言葉を何かの冗談だとでも思ったらしい。

 風ノ塚は、笑って言った。

「もし、それが本当だったら、すごくイメージ変わりますよね~~
 僕としては、今までの儚いイメージの方が好きですけれど。
 ……それより、村崎君」

 笑っていた風ノ塚は、今までになく真面目な顔で、オレを見た。

「……何だよ」

「君、一度。
 ケーキを作ってみる気は無いですか?」

「……は?」

 思ってもみなかった風ノ塚の申し出に、オレは、間抜けな声を出した。