「花乃」

私同様食事に満足した様子の美野里が、食後のコーヒーを口に運びながら呼びかける。

「どうしたの？」

「花乃も２５歳だね。今年の目標とかあるの？」

その言葉を聞いた沙希がすかさず口を挟む。

「花乃の目標は彼氏を作ることでしょ？、彼氏居ない暦２５年だもんね……今年出来なかったら……２６年？」


二人はまるで見てはいけないものを見てしまった様な目で私を見た。

失礼な！と思いながらも私は言い返さずにゆっくりとした動作で紅茶を口に運んだ。


まずは落ち着いて冷静に。
二人に悪気は無いんだしね。


誕生日を祝ってくれる大切な友達だ。遠慮ない物言いは親しさの表れ……のはず。



まあ何にしても私、青山花乃に彼氏が居ないのは事実だ。


しかも今まで一度も彼氏と呼べる相手が居た期間が無い。


出来そうな気配も無いし、来年の誕生日に記録を更新してしまう可能性は結構高いかも。

いや……それどころかこのままじゃ一生独身かも？


いやだ、そんなの！