クラスのみんなに聞こえてたと思う。


勿論、近藤君にも。
彼はショックを受けたのか、とても困った顔をしている。


張本人の私は、誰よりも衝撃が大きくて、茫然自失の状態。


すると大樹は立て続けに空気を読まない発言をした。


「花乃って近藤と話してる時、顔が赤くなるよな! 耳まで真っ赤。お前近藤が好きなんだろ?!」

「……!」


大勢の人の前で気持ちを暴露され、私は夢中で教室を飛び出した。


とにかくどこかに隠れたかった。


信じられない、信じられない!


そればかりが頭を埋め尽くす中、ひたすら廊下を走る。


息が切れて立ち止まった場所に偶然鏡を見つけた瞬間、頭の中が真白になった。

私の顔は大樹が言った様に、顔全体が充血して恥ずかしいほど真っ赤になっていたから。


私……いつもこんな顔で近藤君の前に行ってたの?


これじゃあ大樹だけじゃなく誰だって私の気持ちに気付く。


血の気が引くってきっとこの事だと思った。


さーっと熱が引いて行き、足元がグラグラと揺れた気がした。


もう立ち直れない。


それ位、当時の私にはショックな出来事だった。