……もしかして、昨日泊りだったのかな?

朝まで一緒に過ごして出勤なのかな?


相変わらず先へ進んでいるな、沙希は。私に比べてだけどね。


二人の邪魔をするのもどうかと思い、少し距離を開けたまま会社へ向かう。

井口君が桜川物産のビルに入り、沙希が一人になった所で駆け寄って声をかけた。


「沙希、おはよう」

「あっ、花乃、いたんだ」

「いたよ。井口君が居たから声かけなかったけど」

「そんな気を使わなくていいのに。健とはいつもたっぷり二人きりで過ごしてるから」


沙希は恥ずかし気もなくサラッと言う。

凄い余裕の雰囲気。


「もしかして昨日、泊まりだったの?」



思い切って聞いてみると、沙希はあれ?と言う様子で私を見た。

それからこれまたしれっと言った。