せっせと書類を処理していると、不意に前面に影が差した。

こ、この感じ……この前も有った様な……。

恐る恐る顔を上げると嫌な予感は当たり、不機嫌顔の須藤さんが私の前に仁王立ちし見下ろして来ていた。

「お、お疲れさまです」

他に言うべき事が無くとりあえずそう言うと、須藤さんはA4の紙をハラリと私の席に落とした。

その態度に内心ムッとしながら、机のうえの紙を拾い上げる。


紙は若生屋へ出す見積書だった。

と言っても私が関わっているお菓子のオマケ品ではなく、イベント用の単価の高い玩具の方。

正直私は一切関わっていない案件だ。


「来週訪問してその件で打ち合わせするから」

「そうですか……来週と言うと何日ですか?」


この打ち合わせに私が行く必要って有るのかな? なんて思いながらも聞くと須藤さんはなぜかニヤリと感じの悪い笑いを浮かべて言った。

な、なんか相当嫌な予感。


「12月24日」

「えっ?」


クリスマスイブに打ち合わせ?

唖然とする私に須藤さんが言う。