大樹が私に優しくするのも好きだって言うのも、毎朝待ってくれているのも、全て罪悪感からなのかな。


そうだとしたら大樹って随分律儀になったんだな。

昔は自分の好きな様に自由に振舞ってばかりだったのに。


気を使って貰えるのは嬉しいし、優しくされるのも嬉しい。


それなのに、どうして今私はこんなに憂鬱な気持ちになってるんだろう。


寝付きの良さにはかなりの自信の有る私が、ベッドに入って一時間も経つのに眠れないなんて、重症だ。


大樹に華麗な恋愛遍歴が有ったっていいじゃない。

社内に彼女候補が居たっていいじゃない。


そんなの大樹の自由なんだから。


それなのにこんなに胸がモヤモヤするのは、心の奥では私はいじけているのかな。

大樹と違って何の経験も無いし、親しく話す男性も大樹以外にいない。

そんな自分がなんだか悲しくて、沈んだ気持ちになるのかな?


ベッドの中で何度も寝返りを打つ。

いつもは意識しなくなって直ぐにやって来る睡魔が今日はなかなか訪れない。


ああ、もう嫌になる。

何で私が大樹の事でこんなに悩まなくちゃいけないの?


イライラしながらなんとか眠ろうとギュッと瞼を固く閉じる。

でも暗い視界に浮かんで来るのは、むかつくことに大樹のやけにヘラッとした笑顔ばかり。


私はごろごろと寝返りを繰り返しながら、重苦しい時間をひたすら耐えた。