「大樹ってそんなに慣れてるの? 今まで彼女沢山いたの?」

「まああの外見だし女には困ってなかったよな。長続きはしなかったけど常に誰か居たな。仕事も完璧だし社内にも大樹狙いの女が結構いるしその気になれば直ぐ落とせるんじゃない? 多分、競争率相当高いよ」

「……なんだ」

大樹って私の事ずっと好きだったって言っていた割にそんなに盛んな恋愛暦を持ってたんだ。

経験値最高レベルなんだ。私と違って。


「花乃ちゃん、どうかした?」

井口君が不思議そうな顔をする。

「何でもないよ?」

笑顔を作って答えたけど、胸の中はモヤモヤして仕方なかった。

他に好きな女はいないとか言ってたけど、実は沢山いたんじゃない。

考えてみれば今までコロコロ彼女変えてる所、私も目撃してたしね。
最近の大樹の態度でつい忘れてしまってたけど。

しかも今だって社内で彼女候補がいっぱいいるだなんて。
なんだかとっても楽しそうじゃない?


……だったら私なんかに構わなければいいのに。


ああ、気分が悪くなって来た。

なんだかとてもイライラする。