「花乃の会社は何日迄?」

「うちは25日の金曜日までだよ。販売店はお正月休みも営業しているから営業マンは交代で出勤するんだけどね、私は9連休」


こんな話をしているともう年末なんだなってしみじみ感じる。

ついこの前秋が始まったばかりだと思ってたのに、もう冬なんだから時間の早さには驚くばかりだ。


「俺は28日迄仕事だから、仕事納めの日は花乃と出勤出来ないのか」


大樹は口を尖らせ、「つまんねえ」って呟く。


その仕草は子供みたいでちょっと呆れてしまう。

でも、大樹はこう見えても仕事が出来る男だと最近知るようになったんだよね。


と言っても情報源は大樹ではない。


大樹は私に仕事の話を殆どしないし、「昨日、こんな仕事して上手くいって褒められてさ~」とか自慢もしない。


私の情報源は主に沙希だ。


沙希の新しい彼氏の井口健君が大樹の同僚だから、その経路でいろいろと話が回って来る。


井口君の話だと大樹は同期の中でも一番優秀で、幕張事業所から本社に転勤になったのも、本社のエネルギー部門から熱烈に請われてだったらしい。


私の前ではヘラッとしてるときが多いから結構意外だった。