「お詫びしてくれるって言ったよね?」

「言ったけど、私に出来る内容でだから!」

「うん。デートなんて誰でも出来る。花乃に出来ない訳無い、決定ね」


問答無用に言い捨てられる。


「け、決定って……ちょっと横暴じゃない?」


だいたいさっき迄の悲しそうな顔はどうしたの?

そしてその何か企んだ様な不敵な笑みはいったい何?


「明日迎えに来るから、今日はゆっくり休んでね」


大樹は最高に機嫌良く言うと、唖然とする私を残し、部屋を出て行った。


一人になった部屋でぼんやりと思う。

明日、デート。

しかも大樹と。


白状すると、私はデートの経験が一度も無い。

何しろ彼氏がいた経験がないし、稀に誘って貰っても自分の気が乗らない相手とのデートなんて考えられなかったから。


それに今までこんな強引に有無を言わさずに誘われたことは無かったし。


人生初のデートがまさか大樹とだなんて。


私、これでいいのかな?