街灯のおかげで姿がはっきりと見えて来て、私は一気に憂鬱になった。


近付いて来るのは顔見知り。

それも出来るだけ会いたくない苦手な相手だったから。


誕生日なのについてない。


少し遠回りしてでも回避したいけど、もう相手は私に気付いてしまっているようだ。


こちらをじっと見ていて、目を逸らさない。

スルー出来そうになかったから仕方なく
前に進んだ。


私が進み、相手も近寄って来ているから、当然直ぐに会話が出来るほど距離が縮む。


「花乃、こんな時間までどこ行ってたんだ?」


長身の男が、何の躊躇いもなく話しかけて来る。


内心溜息を吐きながら、私は素っ気なく答えた。