「自分の事をそういったふうに言うなといつもいっているだろうが。障害者なんて言葉は存在しねーんだよ。お前のその動かねー足にはなんか、訳があんの。例えば、
足が動かないことによって…………病気を持っていることによって普通のやつにはわからないことを誰かに教えていく役目とか、
お前に神様が託したんだっつってんだろ。いい加減わかれよ、馬鹿が。」


彼の口癖だ。私が自分の事を障害者と言い始めた頃からずっと言っている。


人に馬鹿と言う前にその、馬鹿げた発想がどこから来るのか知りたいが、

この言葉に救われたことは少なくない。


「私、めんどくさいよ。」

「知ってる」

「イライラさせるかも」

「だろうな。すでにしてるが、」

「可愛くないし」

「了承済みだ」

「……………歩けない」

「お前の役目だからしかたねー。」

「いつか!ー死ぬかも……しれないっっ!」

「なら、そのときまで一緒だ。」

「なら、約束して。私が死んでしまったら私の事は綺麗さっぱりと忘れる事。それができないなら、付き合わない」

「残念だか無理な話だ。」

「は?」

「俺は、お前に付き合えとは言ってない」

「は?」

「俺のものになれと言ったんだ。離すつもりはない。」

そう、私は、彼の真っ直ぐな
目と言葉と瞳と想いにまけたのだ。

「たが、もしお前が死んだら俺は俺の生きたい道を進む。これで、いいか?」

「………………わかった。秀弥のものになります。…………………。」

そう言うと、秀弥はかがんで抱きついてきた。

彼の胸の中で彼の匂いに包まれて彼を感じながら

「ありがとう」とつぶやいた。