けれど、最悪なのはそれだけじゃなかった。


「やっぱ、神楽くんモテるんだねー。」

「え?」


リサさんの顔から、笑顔が消える。


そして、あたしの前に差し出されたリサさんの綺麗な手。


顔を上げると

「宜しくね。ライバル、として。」

さっきまでの笑顔とは違う、心のこもってない微笑みがあたしを見下ろしていて。




「手加減はナシ、ね?」

その言葉に、あたしの直感が的中したんだとようやく理解出来た。



「……よ、宜しくお願い…します…。」

って、何であたし握手しちゃってんのーっ!?



…でも、負けたくない。

例え、勝てる要素なんかなくっても。


この気持ちだけは
神楽くんを想う気持ちだけは

誰にも負けたくないから。



「お互い、頑張ろうね。」

重なったリサさんの手のひらに、ありったけの想いを込めて
きつく、握り返した。