十年もの間、戦いは熾烈を極め、地が荒れ、多くの血が流れた。

 鬼も人も疲弊していた。

 そこに、ある提案が出た。

 生まれて間もなくあまりの力を持っているため幽閉された三人目に決めてもらってはどうか。

 三人目は上の二人の性が決まり、自身も性を有した時牢から放たれ自由の身になれると決まっていた。

 生まれて八十年、まだ若く美しい純血の鬼が地に放たれた。

 まだこれから何十年も幽閉されるはずであった存在は、生まれて初めて外の空気を吸い込んだ。

 居場所を知らせる鈴がなる。

 人はサダメを支持し、コトワリの暗殺を三人目に依頼した。

 鬼はコトワリを支持し、サダメの死を三人目に命じた。

 血のつながる二人のどちらかを、三人目は殺さなくてはならなかった。

 三人目はどちらかを殺せばまた牢に逆戻り。

 どちらにせよ幽閉されることを本人は知っていた。