「はい!次!」
そんな担任の声に俺は立ち上がる。


落ち着け、大丈夫だ。
昨日家で考えた通りのことを言うだけだ。

これを乗り越えれば、アニメのような、きゃっきゃうふふふハイスクールライフの始まりだ!


ふぅ…と一息つき静かに立ち上がる。
前の人の拍手が止んだ静かな教室に、カタンッと椅子が動いた音がする。


「北中出身、花沢 心(ハナザワ シン)です。
趣味は読書と音楽を聴くことです。
特技はありません」

大きな声でもなく小さな声でもなく、心を落ち着かせるようにゆっくりした声で言った。

宜しくお願いします、と言った後、座る。

緊張から解き放たれ、思わずふぅとまた一息つく。


昨日布団の中で考えた自己紹介は完璧だな。
読書が好きっていうのも、ライトノベルが好きだから間違ってないし、音楽が好きっていうのも、アニソンが好きだから間違ってない。

変な嘘をつくよりまだいいだろう。

なんてったって、男子高校生なのだから!
漫画、ライトノベル、アニメで取り上げられる年齢で最も多い年頃(俺調べ)だ!

中学の時はアニオタだとばれ、キモオタだと弄られ、仲間はいたし、楽しかったが、皆、根暗で陰鬱で。
そして、俺もその一員で。

そんな高校生活があっていいと思うか?いや良くない!(反語)


これから始まる高校生活は、二次元ほどではないが、普通の一般的な、それでいて少しフラグの立つような毎日を送るんだ!