身支度を整えてリビングに戻ると、一ノ瀬司はソファーで新聞を読みながらコーヒを飲んでいた。
ふと、ダイニングやキッチンに目を移すも
朝食を食べた形跡はない。
「あの……朝食は食べたんですか?」
私の声に一瞬反応した彼はチラッと一瞥して、また新聞に視線を戻した。
「朝はコーヒーしか飲まない。何か食いたきゃ冷蔵庫なり勝手に食材使って作ればいい。」
朝はコーヒーだけって……
それじゃあ身体がもたないんじゃ…
だけど、私はとやかく言える立場ではない。
こんなの夢にまで見た結婚生活じゃないんだけどな…。
断りを入れて、冷蔵庫の中を拝見する。
以外と色んな食材が入っていて正直驚いた。
司さんって料理とかするのかな。
外食ばかりのイメージだけど。
この広いキッチンで料理をする一ノ瀬司か……
さぞ、カッコいいんだろうよ。
結局、私も朝食をとらずコーヒーだけにした。
いつもはインスタントのコーヒーしか飲んだことのない私にとって挽きたてのコーヒーは格別に美味しく感じたのだった。

