これまた大理石の床の玄関を通ると、ホームパーティーが出来そうなくらい広いリビングルーム。
東京の夜景を一望できるガラス張り一面の窓に私は思わず駆け寄った。
「わぁ……すごい……」
遠くには、東京タワーにスカイツリーもまでが見えた。
ここから見える夜景はまるで地上に降る星のようで……
思わず、見入っていると後ろから遠慮なく声がかかる。
「小学生のガキか、お前は。」
不機嫌そうな声に振り返ると、一ノ瀬司が腕を組んで呆れながら私を見つめていた。
「わ、わぁ!ごめんなさい…つい、旅行とかホテルではしゃいじゃうタイプで……」
って、私は何をカミングアウトしてるの!?
慌てて訂正しようとすると、彼は呆れたようにフッと笑った。
わ、笑った……?
いつも怪訝そうな顔をしているせいか、少しでも緩んだ表情を見るのは新鮮だった。
「何だ。そんな間抜けな顔で見つめられても何も揺るがんぞ。」
「へっ!?ま、マヌケ!?」
一ノ瀬司は私に一歩近づいて頬をつねった。

