*
黒塗りの明らか高級車に乗せられ、着いたのは都内で有名な一等地の高層マンション。
テレビなんかで取材してたの見たことあるような……
一ノ瀬司は地下の駐車場に車を止めると、私を連れてエレベーターで最上階に向かった。
さすが一ノ瀬グループの御曹司。
住むとこもやっぱり他とは違うな…
やがて、最上階に着くと高級で頑丈そうな両開き扉が目の前に。
一ノ瀬司は何の戸惑いなしに開くと、大理石の床が続く長い廊下が現れる。
「ここは、マンションの廊下ですか?」
こんなとこ土足で歩いていいのかな…なんて思っていると、一ノ瀬司は前を見つめたまま口を開いた。
「何を言う。さっきのドアの表札を見なかったか。この最上階は全て俺の家だ。ここはポーチのようなものだ。」
へぇ〜〜……え?
この最上階は全て俺の家って……嘘でしょ!?
マンションのポーチがこんなに広いの初めて見たんですけど……。
シックな落ち着いた色のドアの前に来ると、一ノ瀬司は指紋認証でドアを開ける。
「ここからは靴を脱げ。土足で上がったら許さんからな。」

