「あっれ〜、迷い猫ちゃんかなー?」



スーツをカジュアルに着こなした茶髪の男性はふふっと笑みを浮かべる。

端正な顔立ちの彼は私の顔を覗き込むようにして見つめた。


か、顔が近い…っ



思わず後ずさりした時、目の前の男性は何かを思い出したかのように私の両手を掴んだ。



「あっ、キミもしかして!club GLACERのキャバの子!?」



………へっ!?

な、何で知ってるの…!?



「今日はナチュラルだね〜でも、そっちのがキミの素の美しさが際立ってオレは好きだな〜」




なんて、艶っぽく微笑んだ彼は私の手の甲にチュッとくちづけをした。


なっ、何なのこの人!?
挨拶代わりみたいな軽さ……



「あれ、照れちゃった?カワイイね〜あ、そうだ名前教えてくれる?」



そう、端正な顔が近づいた瞬間

茶髪の男性に掴まれた手が強引に離され
私の目の前に大きく広い背中が……