「へっ!?え、あ……う、うん、そうなんだ〜ハハッ」
ごめん、陽介。
今だけは嘘を許して。
「ふーん、男ねぇ。まあ、今度紹介してよ。俺が見定めてやる」
う、うん……って、えぇ!?
紹介してよってそんな人いないのに紹介できるわけ……
「姉ちゃんはさ、うちの家のことあんま気にすんな。俺が長男なんだしさ、姉ちゃんの分までしっかりしないといけねぇし。だから、もう危ない真似、すんなよ」
電話の向こうの翔太の声はどこか震えているように聞こえて……
気にすんなって……そんなの無理に決まってる。
翔太が長男だって言うなら、私だって長女だもん。
翔太だって、大学行きたいって言ってた。
私がワガママ言って家を出て行ったせいで、翔太は私の分まで背負わされて…
「翔太、私が何とかするから」
ギュッとスマホを握りしめる。
「……は?何言って」
「大丈夫。お姉ちゃん信じて…」
もう、一人で無理しなくていいからね。