sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜





お母さんもお花好きだし。

ブーケ、喜んでくれるかな……



それから私は、お供え用のお花もいただいてその場を後にした。



花束を抱え、坂道を登っていく。


もうすぐだ、もうすぐ……


角を曲がると鉄工所が見える。

その隣の平屋が私の実家。



特に何ら変わらない鉄工所。


閉まってる……今日はお盆だから休みなのか。



そのまま通り過ぎようとしたとき、鉄工所の中から何やら声が聞こえてきた。



「すみません。こうなってしまったのは私の力不足でもあります。ですが上の方針なのでこれ以上は……」



若い男性の声。

誰だろ……仕事関係のお客様?


駄目だと分かっていても、私はそっと扉の隙間から中の様子を伺った。

スーツの男性が一人と、作業服を着た男性が一人。

……あの作業服、お父さんだ……

その後ろ姿はどこか小さく見えるのは何故だろうか。


スーツの男性はお父さんに一礼すると、颯爽と通り過ぎていく。


そんな男性に縋るよう、お父さんは頭を地面の下につけた。