お母さんもお花好きだし。
ブーケ、喜んでくれるかな……
それから私は、お供え用のお花もいただいてその場を後にした。
花束を抱え、坂道を登っていく。
もうすぐだ、もうすぐ……
角を曲がると鉄工所が見える。
その隣の平屋が私の実家。
特に何ら変わらない鉄工所。
閉まってる……今日はお盆だから休みなのか。
そのまま通り過ぎようとしたとき、鉄工所の中から何やら声が聞こえてきた。
「すみません。こうなってしまったのは私の力不足でもあります。ですが上の方針なのでこれ以上は……」
若い男性の声。
誰だろ……仕事関係のお客様?
駄目だと分かっていても、私はそっと扉の隙間から中の様子を伺った。
スーツの男性が一人と、作業服を着た男性が一人。
……あの作業服、お父さんだ……
その後ろ姿はどこか小さく見えるのは何故だろうか。
スーツの男性はお父さんに一礼すると、颯爽と通り過ぎていく。
そんな男性に縋るよう、お父さんは頭を地面の下につけた。

