「あ、ほら、さくら!梢お姉ちゃんにご挨拶して?」
さくらちゃん……
「もしかして、誠さんと舞子さんの…」
「そう、3年前、ちょうど梢ちゃんがここを出て一年経ったぐらいかな?何も報告出来なくてごめんね?安藤さん家には伝えたんだけど…」
そうだ、そうだよ。
私がいない間、この町だって変わっていく。
それが少し、寂しいような、嬉しいような。
「さくらちゃん、こんにちは。梢です。」
しゃがみ込んで、さくらちゃんと同じ目線になる。
目がくりっくりで、ほんのり赤く染まった頬は桜みたいで……すごく可愛い。
私にも、こんな時代があったのかな……
「そうだ!梢ちゃん!お花好きなの持って行っていいよ!アレンジするの、好きだったでしょ?」
そう言って舞子さんはお店の中へ促す。
「は、はい!今でも好きです……部屋にアレンジしたもの飾ってました!」
高校時代、よく舞子さんにお花のアレンジを教えてもらって……
少し殺風景な陽介の部屋にもお花を飾ったりしていた。
私は舞子さんのお言葉に甘えて、お花を少しいただき、小さなブーケを作った。

