「ほら!やっぱり梢ちゃんじゃない〜!私!フラワーにしかわの舞子よ!」



ジョーロ片手にぴょんぴょんと飛び跳ねる一人の女性。


ふと、視線を背後に向けると
昔からお世話になっていたお花屋さんの前だと気付いた。



「舞子さん……お久しぶりです」



【フラワーにしかわ】とはこの町で唯一の夫婦で営業しているお花屋さん。


そこの娘さんが舞子さんで、4年前に結婚した旦那様とお店を切り盛りしている。

久しぶりに見る舞子さんは昔と変わらず綺麗で、お花がよく似合う女性だ。



「梢ちゃん、本当久しぶりね〜。高校の卒業以来かしら?元気にしてた?」



舞子さんの笑顔を見た時、ふと、私もここの住人だったと実感出来て涙が出そうになる。



「舞〜、お客さんか?」



すると、奥から一人の男性が小さい女の子と手を繋いで出てきた。



「…もしかして安藤さん家の梢ちゃん?久しぶりだな〜!すっかり大人になって〜」



出てきた男性は舞子さんの旦那様、誠さん。


そしてその小さな女の子は………