古賀や、麗香に連絡したがあいつの情報は何一つ手に入らなかった。



「………まさか、」



情報が何もない中一つだけ心当たりがある。

こんな急に態度が一変するなど、あの人が関わってるに違いない。


スマホと車の鍵だけを持つと足早に部屋を出た。



車を走らせること数十分。


着いたのは、閑静な住宅街にある無駄にでかい屋敷。


もう何年もこの実家に帰ってきていない。


使用人に頼み中へ入れてもらうと直様、ある部屋に向かった。


ノックをして中に入ると、デスクに向かった社長の姿があった。



「………彼女に何を言いましたか。」



デスクの前まで詰め寄ると、社長は顔を上げる。



「身を引いてくれと、そう言った。」



「またいつもの、利益がって社長が好きなやつですか。」



捉えた目を離さずにいると、社長は逃げるように視線を逸らした。



「そうやって、使えないと判断したら下請けの会社を切って、企業を大きくすることに何か意味でもありますか。」



「そうしないと生き残れないのが現実だ。今こうして一ノ瀬グループがあるのは誰のお陰だと思っている。」



「……ですが、ちゃんとその会社の良さも知りもせずに契約解除され自己破綻になった会社がいくつあるとお思いですか?」