「君もわかっているだろう。住む世界が違うと。ここで司と一緒にいても幸せにはなれん。君は君なりの幸せがあるはずだ。」
君なりの幸せって……
「お言葉ですが、私にとっての幸せは司と一緒に……っ!」
「司は一ノ瀬の大切な跡取りだ。その跡取りを振り回すようなことをしないでくれ。」
振り回すってそんな……
「私は、彼のことが……」
「好きだというなら、尚更、司の為に身を引いて欲しい。」
さっきまで傲慢だった態度の総一郎さんは私に頭を下げた。
その姿はなぜか私の父の頭を下げる姿と重なって見えて………
私とお父さんの仲を取り持とうとしてくれた司。
それなのに私は……自分のことばっかり。
「………わかりました。彼とは離れます。」
そう言った瞬間、総一郎さんは顔を上げた。
「ですが、一つだけお願いがあります……───」
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