「おじゃまします……」
つい数ヶ月前まで"ただいま"と言っていたのに。
陽介の部屋は私と暮らしていたあのときからまるで変わっていなかった。
私がねだって買ってもらった可愛らしい吊り鉢に小さなブライダルベールがポツリと咲いている。
「本当だ……咲いてる。」
殺風景だった陽介の部屋が寂しくて、買ってきたお花をアレンジして飾ったり勝手にベランダに植木鉢買ってきたりして……
怒られるかな…なんて思ってたけどなんだかんだ一緒に育ててくれたっけ。
「私、入ってよかったの?新しい彼女さんとか……怒られるんじゃ…」
今度の彼女もお花が好きなのかもしれない。
部屋を見渡してそう思った。
「いや、そんな人はいない。好きだった人にはとっくに振られてる。その人ついこの前結婚したんだ。俺ってバカだよな……そんな人追いかけて梢傷付けるなんて。」
自嘲するように笑い俯いた陽介。
バカだよ、本当。
私がどれくらい傷付いたか……
「でも、本当にその人のこと好きだったんじゃしょうがないよ。だって、いつの間にか好きになっちゃってるんだもんね。」
そう、いつの間にか好きになってる。
自分の意思なんか関係なしに、気づいたらその人のことが頭を離れない。

