「元気にしてたか?」
まるで二、三年会っていないかのような話し方。
彼もなんと話していいのかわかっていないみたい。
「うん。元気にしてたよ。」
19時を回った頃、駅に向かって歩くサラリーマンは皆これから帰宅するのだろうか。
陽介もきっと仕事が終わり今から帰る頃なのだろう。
ぎごちない空気の中、お互いこれ以上とうすればいいのか行き場を無くしている状態。
これ以上喋ることなんてないよね。
じゃあね、と口を開けようとしたとき、陽介は切なげに笑った。
「梢が大事に育ててたブライダルベール、やっと咲いたよ。梢好きだったもんな花。俺もその影響で色々部屋ん中とかベランダで育ててる。」
どうして今、そんなこと言うのか。
どうして、そんな思い出すようなこと言うの?
「そっか、ブライダルベール……咲いたんだ。」
「よかったら見に来るか……?」
行かないよ。行けないよ。
そう心で思っているのに
思わず頷いてしまった。

