「フッ、何だそれ。妬いてるって言いたいのか?」
少し微笑んだ彼の目に今は私が映っている。
「……そう、かもしれない。」
なんて、素直な言葉が思わず溢れると
司は一瞬驚いたような顔をした。
知らない間に私、麗香さんにヤキモチ妬いてたんだ。
「……阿保が」
司は小さく呟くと私の手を取って歩き出した。
「え…ちょっと!?」
「どうせまた段差に躓いて転けるんだろ。ちゃんと掴まってろ。フラフラしてはぐれるなよ。」
躓いて転けるとかはぐれるとかって、ほらまた子供扱い。
でも、繋がれた手が嬉しく思うのはどうしてだろう。
「何、ニヤニヤしてんだ。」
「……何だか、嬉しくて。」
そのままの気持ちを言えば、必ずといって彼の表情はほんの一瞬だけ固まる。
「……本当変わってるな、お前は」
そして、必ずといって彼はそう言うんだ。

