「ええ、ただの過労で。貴方のお陰で大事には至りませんでした。」
「そ、そうですか……よかった….」
ホッと一安心していると、男性は私の顔を伺い言う。
「あの場所からこの病院は遠かったでしょう。お詫びと言っちゃ何ですが家までお送りします」
端正な顔がすぐ目の前に迫り、私は思わず一歩下がる。
「い、いえ私はこの後面接が……」
チラッと腕時計を確認すると……
………へ?
「……う、うそ」
面接が始まる時間は13時なのに。
今の時刻は13時半を過ぎている。
そんな……紗栄子に言われて早めに出たつもりだったのに。
血の気がすぅーっと引いていく。
「す、すみません、私はこれで……っ!」
どうしよう、なんて考えている暇もなく
私は病院を飛び出した。

