この女……正気か?
真っ赤な顔で目を瞑ったまま寝息を立てる。
「………りんごか。」
そのまま放置するわけもいかず……
「……ったく、しょうがねぇな」
そっと、抱き上げると、う〜んと唸る。
中年のおっさんかこいつは。
部屋まで連れて行き、ベッドに降ろし布団をかける。
相変わらず、人の気も知らず幸せそうな顔で眠っている。
「阿保な上に、酒癖も悪いとはな。」
ギュッと頬をつねると、またふふっと笑みを浮かべる。
随分、間抜け面だな。
「………おやすみ。……梢。」
そっと静かに手を離し、部屋を後にした。
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