sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜





幾つか来客者たちに挨拶をして回ったとき、ようやく手帳の意味がわかった。

挨拶回りにいくから、顔と名前を把握しろ…と。


ここぞとばかりに社交の場を広げ、深める。

きっとこういうパーティーは全部そうなんだろう。


私が考えていたパーティーとは程遠い。


お堅い記念パーティーとは言えど、今日は司の誕生日でしょ?

なのにその本人が全く楽しそうじゃない。


これが当たり前なんだろうけど、口から出るのは仕事の話ばかり。


もっと営業スマイルなんかじゃなくて、本当の笑った顔が見たいのに……


気後れした私は、会場に繋がるバルコニーに出た。


夜風に当たって頭を冷やす。



これが彼の普通なんだよね……


やっぱり住む世界が違いすぎるよ……


婚約者のフリとはいえど、嘘を吐くのは疲れる。



「お腹空いたなぁ……」




なんて、周りに誰もいないことに安心し思わず呟くと……



「ハハッ、そんなにお腹空いてるの?」



背後で笑う声がした。