「この度は、一ノ瀬グループ60周年記念パーティーにお越し頂き誠にありがとうございます。今日この日を迎え私は27歳になりました。偉大な祖父の背中を追いかけ周りの皆様の多大なる指導のもと成長し、今私はこの場に立つことが出来ています。」
何にも臆することなく、司はジッと前だけを見つめた。
その真摯な瞳に紛れもなく大企業の御曹司だということが伺える。
今は隣に立つことが出来るけど…本当は違う世界の人なんだよね……
そう思うと、突然言いようのない感情が押し寄せてきたのだった。
「私事ですが、この度こちらの安藤 梢さんと婚約したことをこの場で発表したいと思います。」
そっと引き寄せられ司に寄り添うように立つと同時に拍手が起こり、瞬く間に多くのシャッターライトが降り注ぐ。
「梢さんと初めて出逢ったのは2年前。第一印象は無駄に明るく元気な方だと感じました。」
………に、2年前!?
よくそんな普通の顔して嘘がスラスラでるもんだよ。
しかも"無駄に"って何ですか!?
本当、一言多いんだから!
要するに"阿保"って言いたいんだろうけどさっ!

