「………親はつい、大切で心配だからこそ子に厳しくものを言ってしまう。そういうものだろ、親というのは。」



一ノ瀬司も私と同じ絵馬を見ていたのか、ポツリとそう言葉を零した。



「今はまだ食い違うことがあっても、いつか分かり合える日がくる。」



彼はそっと私の頭に手を乗せて優しく撫でた。

どうしてだろう。
頭に乗る手が、こんなに心地良くて安心するのは。



「………一緒に、実家へ帰ってくれて…ありがとうごさいました。」



きっと私一人じゃ何も出来なくて

あのまま家族に嘘を吐いていたら、今頃になって後ろめたくて苦しくなってた。


この場所だって、陽介のことを思い出してしまうと思っていたけど案外吹っ切れている自分に気付いた。


それは全部……



「貴方が、司さんがいて…よかったです。」




全部、貴方のお陰なのかもしれない。