慌てて辺りを見回すと、絵馬を眺めている一ノ瀬司がいた。



「絵馬見てるんですか…?」



駆け寄ると、彼はチラッと私を見る。



「願い事は済んだか、欲張り娘。」



よ、欲張り娘!?

何なのその恥ずかしい名前…!



「欲張りって、そんなに長々お願い事してたわけじゃ……」



「ここは縁結びでも有名なのだろう。その類の願いを必死にしていたんじゃないのか。」



確かに最近は縁結びでも有名だけど。



「ここに来たかったのは、お父さんと……和解できるようにってお願いを……」



こんなお願いなんて子供だって、笑われちゃうかな……



「あはは、願い事言っちゃ叶わないんだった…な」



お父さんとの関係が悪くなってしまったのは勝手に大学を押し切った件から全て私が悪い。

今更、もう昔みたいに戻れない……よね。


ふと、目に入った可愛らしい絵馬。

小さな子どもが書いたのだろう
『パパとママといつまでもなかよしでいれますように。』と可愛らしい字で書かれていた。