「この中に好きな男はいたか?」
「そ、そんなの、どうでもいいでしょ!」
いきなり好きな男って……
一ノ瀬司はクラスの個人写真ををじっくり見て指をさす。
「この男だろ。お前みたいな女にも優しくしてくれそうだしな。」
なんて、指差した相手は私が高校生活ずっと片想いしていた相手で。
大正解ですよ、御曹司様……
何で一発で当てられるんだろう。
この人は私のことがまるで手に取るようにわかるみたい。
私は貴方のこと……全然知らないのに。
不公平、だよ。
「あ、あの……急遽、泊まることになってごめんなさい。明日も仕事なのに…」
彼はアルバムを捲る手を止める。
「いや、明日は休みを取った。お前も就活生ながらもまだ夏休みだろ。今日明日はゆっくりしろ。」
ベッドから立ち上がるとアルバムを元の棚に戻し、襖に手をかける。
「ま、待って……まだ話が…」
思わず出た、引き止めの言葉。
振り返った彼の瞳が、いつもより優しく見えるのは……私の錯覚…なのかな。

