「あの冷酷で鬼畜な男が社員の前で女性を抱き寄せるだなんて、ここにいた誰もがビックリよ。おかしいと思ったわ。あの男は絶対に浮ついたようなことは決してしない。社員の目を欺く行為に過ぎない…….そうでしょ?」
ジリジリと近づいてくる麗香さん。
何もかも見透かされてしまいそうな瞳に狼狽えてしまいそうになる。
「嘘なんでしょ?婚約者だなんて。あの男のことよ、結婚したくないが為、貴方に偽装結婚するように頼んだ。違うかしら?」
麗香さんの言葉に、思わず動揺してしまう。
ふ、普通にバレてるよ…
『この偽装結婚を知っているのは、俺とお前、そして古賀だけだ。これがもし他にバレたらどうなるかわかるか?』
ふと、一ノ瀬司の言葉が脳裏を過る。
バレたら……
この世界から消されるか、正式に婚約者になって籍を入れ……ってそんなの絶対嫌だよ!!
何とかしなくては……
「み、皆さんの目を欺くなんてそんな…!あ、あれが普通なんです!二人の時はす、スキンシップが多いもので………」
って、何言ってんのよ私!!
もう、全て白状してしまおうか…なんて考えていたとき。
麗香さんはクスクスと笑い始めた。
「あの司がスキンシップが多いって、ふふっ、そんな可笑しなことはないわ!」

