あはは、なんて引きつった顔で笑う私を横目で一ノ瀬司がキツく睨みつける。
"もっと、婚約者らしく振るまえ"なんて言いそうだ。
「お二人は婚前旅行とか行かないんですか?」
「挙式はどこでされるんですか〜?司さんのことだからきっとすごいんだろうな〜」
こ、婚前旅行……!?
挙式って……挙げるつもりも予定もありませんけど……
ワイワイと騒ぐ社員の皆さんに圧倒されていると、一ノ瀬司はさり気なく私の一歩前に出た。
「その辺にしておけ。彼女はこういう場に慣れていない。」
なんて、私の腰をそっと抱き寄せた。
…………っ!?
腰に添えられる優しい腕にドキ、ドキと胸が高鳴って止まらない。
な、何して……
一ノ瀬司の行動に誰もが驚きを隠せないのか、言葉を失っている。
そんな空気をぶち破るように、ハハッと吹き出して笑う声が聞こえた。
ふと、オフィス内を見渡すと端の壁にもたれて笑う古賀さんを見つけた。

