一ノ瀬司のいきなり発言に社員の皆さんもどよめく。
そりゃそうでしょ!
いきなり、婚約者を発表って…当の私だって聞いてないからね!?
そんな私の視線をも無視して、一ノ瀬司は続ける。
「晴れて、この私の婚約者となった安藤梢だ。今後、この一ノ瀬に携わっていく者として至らぬ点があるだろうが長い目で見てやって欲しい。」
そう、一ノ瀬司は頭を下げるものだから私は驚きを隠せない。
"晴れて"って何なの!?
願ってこうなったわけじゃないですから!!
それに、今後、一ノ瀬に携わるって…勝手に決めないでもらえますか!?
ただの偽装結婚ですよ!!皆さん!!
………なんて、言えるはずもなく。
一ノ瀬司の隣で、私も頭を下げることしか出来なかった。
一見、婚前カップルのようだがそれは全くの誤解だ。
なのに、社員の皆さんは割れんばかりの拍手で私たちを祝福する。
「ついに、司さんが結婚だなんて…!おめでとうございます!」
「おめでとうございます!司さん、梢さん!」
こ、心がこんなに痛いことはない。

