やがて、もう何度目かになる一ノ瀬グループの本社に着くと一ノ瀬司に連れられエレベーターに乗る。
とある階で降りると、広々とした奥行きのあるオフィスの中を人が忙しなく動き回っていた。
この前も忙しそうだったけど、今の方が大変そうだ。
オフィスの中心となるボードには
"NY初 hotel ICHINOSE プロジェクト"
と、大きく書かれ色々な資料が貼られていた。
ホテル一ノ瀬……?
そう言えば一ノ瀬グループはホテル業もすごいんだったな……
ボードに目を奪われていると、いきなり手を引かれる。
私の腕を掴んだ一ノ瀬司は、ズカズカと忙しなく動き回る社員の間を抜けていく。
「司さん!おはようございます。」
「おはようございます!」
元気の良い、社員たちに会釈する一ノ瀬司。
あれ、以外と社員の皆さんには当たりが優しいタイプ?
てっきり、会社でも暴君なんだと……
そんなことを考えながら歩いていると、彼はオフィスの中心まで来ると私の腕を離した。
そして、彼はオフィス内をぐるりと見渡し口を開いた。
「いきなりで悪いが、一ノ瀬創立60周年記念パーティーでお披露目となる婚約者を一足先、ここにいる皆に発表しようと思う。」
………………え?
い、今なんて!?

