オフィスにラブは落ちてねぇ!!

翌朝。

夕べ酔って床の上で眠ってしまった愛美は、あまりの寒さでまだ外が暗いうちに目覚めた。

腕をさすりながら、壁時計の文字盤の上で仄白く光る数字と針に目を凝らす。

(寒っ…。何時…?まだ5時…?)

やけに寒くて、体がだるい。

(風邪…?こんなとこで寝ちゃったからな…。とりあえずもう少し寝ていよう…。)

愛美はのそのそとベッドに潜り込んだ。

電源を切ったままのスマホがそこにある事に気付き、そのまま電源を入れずに遠ざけた。

緒川支部長の普段の姿にあんなにときめいていたはずなのに、一晩経つと頭の中は驚くほど冷えきっていた。

やっぱり気の迷いだったかなと思いながら寝返りを打つ。

スマホの電源を切って寝てしまったので、緒川支部長からの連絡が本当にあったかどうかもわからない。

(なんかもうどうでもいい…。見る気にもなれない…。)

愛美はうずくまるようにして布団にくるまり、もう一度目を閉じた。



2時間後。

朝の7時にセットされたスマホのアラーム音で愛美は目覚めた。

(ん…熱い…。)

さっきは寒くてしょうがなかったのに、今度は体がやけに熱い。

(熱あるのか…。やっちゃったな…。)

ベッドサイドの引き出しから取り出した体温計で熱を計る。

1分半後、ピピッとアラーム音が鳴ると、液晶には38.9℃と表示された。

(あー…会社行けない…。)

仕事に穴を空けて申し訳ないなと思う気持ちと、今日は緒川支部長と顔を合わせなくて済むという気持ちが入り交じる。

契約に関しての仕事なら代わりに緒川支部長か峰岸主管がやってくれるだろうし、内勤業務がどうしても必要なら営業部の内勤職員が手伝いに来てくれるだろう。

(私がいなくたって仕事はなんとかなるし…。支部長に会わずに済んでせいせいする…。)