オフィスにラブは落ちてねぇ!!

愛美はまた、かつてのつらい恋愛を思い出す。

どんなに頑張っても尽くしても、人として扱わないような暴言を吐き、暴力を振るった男。

誰にでも優しくして、愛美との約束も忘れて他の女に会いに行き、悪びれもせず浮気をくり返した男。

かわいく甘えて、いつの間にか部屋に転がり込んで、金の無心ばかりして、知らないうちにいなくなった男。

優しかった恋人が別人のように変わってしまったつらさや、悲しみや恐怖を味わった。

何がきっかけだったのか、自分の何がいけなかったのかもわからない。

(もしかしたら…支部長だってそのうち変わるのかも知れない…。)



もう緒川支部長を待つのはやめようと決めてから、ずいぶん時間が経ったように感じる。

実際は1時間なのかも知れないし、3時間なのかも知れない。

愛美は寒い部屋の中、相変わらずベッドにもたれて、何本目かの缶ビールを片手に、ぼんやりと虚ろな目で遠くを見ている。

もう何が悲しかったのか、何がつらかったのかもわからない。

ただ、無性に寂しくて、訳もわからず涙をボロボロこぼした。

(あーあ…。結局ひとりか…。)

愛美は手の甲でグイッと涙を拭って、ビールを飲み干しため息をついた。

(もうどうでもいいや…。このまま朝まで寝ちゃおう…。)

愛美はバタンと床に倒れ込んだ。

(大嫌い…。ごめんとか…言い訳とか…そんなの聞きたくない…。これ以上、優しくなんかしないで…。また傷付いて泣くくらいなら…もう誰も好きになんかならない…。)