食事を終えて片付けをした後。

「支部長、私、帰ります。」

「えっ…帰るの?」

「だって…昨日化粧も落としてないしお風呂も入ってないし…着替えもしてないし…。」

「お風呂ならうちにもあるけど。必要な物があるなら買ってくるし。」

「いや…いくらなんでもそれはちょっと…。とにかく今日は帰ります。二日酔いでまだボーッとしてるし…。」

「うん…そっか…。もう少し…って言うか…もっと一緒にいたかったんだけどな…。」

寂しそうに肩を落とす緒川支部長を見ていると、マロンを思い出して思わず頭を撫でたくなる。

(やっぱ犬っぽい…。)

「じゃあ…明日は空いてる?」

「明日は特に予定ありませんけど…。」

「だったら明日…俺と、デートして下さい。」

まっすぐに見つめる緒川支部長の眼差しに捕らわれ、愛美は無意識にうなずいた。

「やった…!じゃあ、今日は送ってく。」

「いや…一人で帰れますよ?」

「送らせてよ。少しでも長く一緒にいたいから。」

どこまでもストレートな緒川支部長の言葉に、愛美は顔を真っ赤にした。

(やっぱ甘過ぎ…。激甘だよ…。なんかもう恥ずかしい…。)

緒川支部長は、顔を真っ赤にしてうつむく愛美を抱き寄せた。

「明日は…1日中一緒にいられる?」

優しく囁く声が耳に響き、愛美の全身が甘く痺れた。

「……ハイ…。」

緒川支部長は小さな声で答える愛美の頬にそっと口付けて、また耳元で甘く優しく囁いた。

「愛美、好きだよ。」