オフィスにラブは落ちてねぇ!!

倉庫の鍵を開けて中に入り、愛美は高瀬FPに頼まれた企業向けの定期保険のパンフレットを探した。

「えーっと…あっ、あった。」

ずいぶん高い所にあるので、手が届きそうにない。

(仕方ない…脚立…。)

脚立を取りに行こうと振り返った愛美は、すぐ真後ろにいた緒川支部長にぶつかり転びそうになった。

「わっ…!!」

転びそうになった愛美を、緒川支部長は軽々と片手で受け止める。

「大丈夫か?」

「だっ…大丈夫です。」

(だから早くその手を離せぇ!!)

愛美の心の声とは裏腹に、緒川支部長は愛美を受け止めたまま、その手を離そうとしない。

「あのっ…もう大丈夫なんで!離してもらえます?」

愛美がその手から逃れようとすると、緒川支部長は愛美を抱きしめた。

「菅谷…オマエ、なんでそんなに俺を嫌うんだ?」

「え…えぇっ?!ちょっ…支部長…!!」

(な、な、何これーっ!!バカーッ!!離せー!!)

「高瀬が好きなのか?」

「ち、違います!!とにかく離して…。」

「嫌だ…。」

(離せって言ってんだろうがぁ!!)

「離して下さい!!」

「俺と付き合うって言ったら離してやる。」

「はぁ?!言ってる事、めちゃくちゃです!!」

「じゃあ、離さない。」

愛美を抱きしめた緒川支部長の唇が、愛美の耳に触れた。

「やっ…!!」

偶然にも弱い所を刺激され、愛美は緒川支部長の腕の中で小さな声を上げて身をよじった。

「へぇ…耳、弱いんだ。」

緒川支部長は愛美の耳にそっと唇を這わせた。

唇からもれる吐息に反応して、愛美は更に身をよじる。

「やっ…!ダメ…やめ…て…。」