お昼休憩の後、職員が出払った静かなオフィスで、支部の電話が鳴った。
愛美が受話器を耳に当てると、こちらが名乗るより先に緒川支部長の声が聞こえた。
「森さん帰ってる?」
「いえ、まだです。」
「じゃあ、戻ったら俺に電話するように伝えて。」
「森さんの携帯に、直接電話かメールした方が早いです。」
愛美がそう言うと、緒川支部長はほんの少し黙り込んだ。
「それはそうなんだけどな…。愛美の声が聞きたかったから。」
営業職員と違い、内勤職員は仕事中は携帯電話を使用しない。
支部に電話をすれば、大抵は愛美が出る。
それをわかっているから緒川支部長がわざわざ支部に電話してくる事にも、愛美は気付いている。
少しだけ意地悪な事を言ってやろうかなと、愛美はわざとらしく無愛想な声で話す。
「仕事中ですよ。支部の私用電話は禁止です。」
「…ごめん。」
緒川支部長とは思えないほど頼りなく謝る声に、やっぱりこの人も間違いなく“政弘さん”なんだなとおかしくなる。
「じゃあ、用がなければ切りますよ。」
「今日…仕事の後、会いに行ってもいい?」
「私用電話禁止です。」
愛美が笑いを堪えながら素っ気なくそう言うと、緒川支部長は“政弘さん”の声で電話越しに囁いた。
「うん…。愛美、好きだよ。」
愛美は思わず笑みを浮かべて、あえて素っ気ない声で答える。
「そういう事は、直接言って下さい。」
「わかった、そうする。」
目の前にいなくても、緒川支部長の格好で耳を垂れて尻尾を項垂れている“政弘さん”の姿が目に浮かび、愛美は込み上げる笑いを必死で堪えた。
「切りますよ?」
「うん。」
「あ、言い忘れてました。」
「ん、何?」
少し嬉しそうな“政弘さん”の甘い声に、愛美は少しだけ優しい声で答える。
「晩御飯用意して待ってます。」
「…うん!!絶対早く行く!!」
耳をピンと立てて嬉しそうに尻尾を振っている“政弘さん”の姿が目に浮かぶ。
(やっぱりかわいい…。)
愛美は照れ笑いを浮かべながら受話器を置いた。
愛美が受話器を耳に当てると、こちらが名乗るより先に緒川支部長の声が聞こえた。
「森さん帰ってる?」
「いえ、まだです。」
「じゃあ、戻ったら俺に電話するように伝えて。」
「森さんの携帯に、直接電話かメールした方が早いです。」
愛美がそう言うと、緒川支部長はほんの少し黙り込んだ。
「それはそうなんだけどな…。愛美の声が聞きたかったから。」
営業職員と違い、内勤職員は仕事中は携帯電話を使用しない。
支部に電話をすれば、大抵は愛美が出る。
それをわかっているから緒川支部長がわざわざ支部に電話してくる事にも、愛美は気付いている。
少しだけ意地悪な事を言ってやろうかなと、愛美はわざとらしく無愛想な声で話す。
「仕事中ですよ。支部の私用電話は禁止です。」
「…ごめん。」
緒川支部長とは思えないほど頼りなく謝る声に、やっぱりこの人も間違いなく“政弘さん”なんだなとおかしくなる。
「じゃあ、用がなければ切りますよ。」
「今日…仕事の後、会いに行ってもいい?」
「私用電話禁止です。」
愛美が笑いを堪えながら素っ気なくそう言うと、緒川支部長は“政弘さん”の声で電話越しに囁いた。
「うん…。愛美、好きだよ。」
愛美は思わず笑みを浮かべて、あえて素っ気ない声で答える。
「そういう事は、直接言って下さい。」
「わかった、そうする。」
目の前にいなくても、緒川支部長の格好で耳を垂れて尻尾を項垂れている“政弘さん”の姿が目に浮かび、愛美は込み上げる笑いを必死で堪えた。
「切りますよ?」
「うん。」
「あ、言い忘れてました。」
「ん、何?」
少し嬉しそうな“政弘さん”の甘い声に、愛美は少しだけ優しい声で答える。
「晩御飯用意して待ってます。」
「…うん!!絶対早く行く!!」
耳をピンと立てて嬉しそうに尻尾を振っている“政弘さん”の姿が目に浮かぶ。
(やっぱりかわいい…。)
愛美は照れ笑いを浮かべながら受話器を置いた。



