オフィスにラブは落ちてねぇ!!

翌日。

11時に迎えに来た“政弘さん”に連れられ、近所のスーパーで一緒に買い物をした。

“今日は昼も夜も愛美の手料理が食べたいな”と人懐っこい子犬のような目でお願いする“政弘さん”をかわいいと愛美は思う。

買い物を終え、彼の部屋へ足を踏み入れた愛美は、早速キッチンに立つ。

“お昼だから簡単な物でいいよ”と彼が言うので、お昼はパスタを作る事にした。

キッチンで料理をしている愛美の後ろ姿を“政弘さん”は幸せそうに目を細めて見ている。

「お腹すいた。」

カウンターに肘をついて子供みたいに声を掛ける“政弘さん”に、愛美は笑って振り返る。

「もうできますよ。お皿、取ってもらえます?」

“政弘さん”はいそいそと嬉しそうに食器棚から大きめのお皿を2枚取り出して、調理台の上に置いた。

愛美がお皿にパスタを盛り付けると、“政弘さん”は目を輝かせて、美味しそう、と呟く。

二人で向かい合って、愛美の作ったパスタを食べた。

「すごく美味しいよ。」

「良かった。」

美味しそうにパスタを頬張る“政弘さん”を見ていると、嬉しくて愛美も笑顔になる。

今まで、自分の作った料理をこんなに幸せそうに食べてくれた人はいただろうかと思いながら、愛美もパスタを口に運んだ。

(誰かのために料理を作るのが、こんなに幸せだって思ったのも、初めてかも…。)



昼食を終えて片付けを済ませた後、コーヒーを淹れてソファーの前のローテーブルの上にカップを置いた。

床の上に敷かれたラグに座り、コーヒーを飲みながら他愛ない話をしていると、ふと会話が途切れ、ほんの少しの沈黙が流れた。

“政弘さん”はソファーに座り、自分の隣をポンポンと叩く。

「愛美、おいで。」

少しドキドキしながら、ゆっくりと隣に座ると、“政弘さん”は愛美の肩を抱き寄せて頭を撫でた。