なんだって兄は、こんな大事な日に、こんな物を頼むのか。
スーパーの大きな窓ガラスに写る自分の姿に、情けなくて泣きたくなる。
この日のために選びに選んだワンピースの裾が、風に吹かれて可愛く揺れる。
その手には不似合いな、大きな紙袋。
しかも袋に入りきらなかった真っ赤な頭部が、不気味に顔を覗かせている。
「バカ兄貴!」
ため息と共に毒づく。
七倉さんに、この間抜けな姿を見られる前に、兄にリコピン星人を渡さなきゃ。
そう思い、コーギーのドアを開けようとしたとき、
「あなたが『雛子』?」
つんと尖った、冷たい声がした。


