「本当は、この後、雛子ちゃんに会いたいとこだけど、高校生に夜更かしさせるわけにはいかないからね。また明日、電話していい?」 電話する。 じゃなくて電話していい?って聞くのが七倉さんらしい。 「はい。待ってます」 私の返事に、 「よかった。家まで送ってあげられなくてごめん。気をつけて帰って」 そう言って、七倉さんの電話は切れた。 最後の最後まで、私のことを気遣う七倉さんは、 本当に、 「優しいな」 胸の真ん中に、まん丸に灯る温もりを抱きしめて、私は家に帰った。