「七倉(ななくら)さん」 ピクリと肩を動かした後、彼が振り返る。 半端なく力のある大きな目。 その目で見つめられて、なぜか胸がきゅっと締め付けられる。 『これ兄から』 たったそれだけの言葉が出ない。 その時、 「雛子ちゃん?」 ふいに聞き覚えのある声がした。スキンヘッドに糸のような細い目の男の人。 兄の友達の…… 「伊織さん?」