2人、肩を並べて歩いていると、赤いトマトがやって来た。
トマトは私たちの前で、真っ赤な被り物を脱いだ。
「雛子ちゃん」
綺麗な声で、その名を呼ばれて、めを大きく見開く。
七倉さん?
そう呼ぼうとした私より先に、亜理沙が叫んだ。
「ハル?なんでSoul Loversのハルがここにいるの?」
亜理沙の大声に、コートにいる人たちがざわめく。
ざわめきは、悲鳴のような歓声に変わって、半ばパニックになった人々が押し寄せる。
七倉さんに向かって。
しまったって顔をした七倉さんは、
「雛子ちゃん、ごめん」
そう言って、逃げるようにその場を去った。


