「お前、聞いてたのか?」 雛子ちゃんから電話がかかってきたのは、ツアーのリハーサル中だった。 知らない番号からの着信に、胸騒ぎがして電話を取った。 彼女と話したのは、スタジオを出た先の廊下だった。 「だってハル、やけに緊迫した顔でスタジオを出たから、何かあったのかと思ったのよ」 気まずそうに言い訳する梨央は、探るような目で俺を見た。 「ずいぶん楽しそうに話してたじゃない」 梨央の言葉に、なぜか動揺する。 彼女からの電話を、待ち焦がれてた。 彼女に、会いたいと願った。